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頼綱の物言いにちょっぴり不安になった途端、「子羊のロースト、食べてみるかい?」と、取り皿に載せたお肉を差し出されて。
私、あっという間に頭がそっちに切り替わってしまった。
子羊のロティ、菜の花のソースがかかっているとかで、黄緑色が鮮やかですっごく綺麗で。
ほんのちょっぴり酸味のあるお味がアクセントになっていて、とても美味しくて思わず顔がほころんだ。
「美味しぃ~♥」
両頬に手を当ててニッコリしたら、「お気に召しましたか? 子羊ちゃん」って問いかけられた。
ん?
なんだか順序がおかしいけどきっと、食べている子羊ちゃんはお気に召しましたか?ってことだよね?
「うん、すっごく!」
思いながらそう答えた私だったけれど。
まさか……頼綱の中では私が〝子羊ちゃん〟なんだとは到底思いつけなくて。
「私、オオカミのための生贄じゃなーい!」ってプンスカするのは、デザートに〝ウフ・ア・ラネージュ〟を食べて「なんだぁ〜。甘いはんぺんじゃ~ん♥」って思った後のお話です。
END(202012/04-12/20)
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