瓶詰め

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 華奢な指に挟まれて運ばれている小瓶の中の私は、まるで観覧車に乗っている時に強風に(あお)られて、ゴンドラごとグワングワン揺り動かされてるような居心地の悪さを覚える。  酔いそう……。  それに……怖い。  いつ手が離れて床に落っことされてしまうか分からないという心許(こころもと)なさに、身体が震えてしまう。  それに耐えきれなくなって、私はへなへなと花たちの間に両手をついてへたり込んだ。  ――頼綱(よりつな)っ、助けてっ。  無意識にそんなことを思ってしまって、自分でもびっくりする。  でも、きっとこれは仕方ないことよ。  私、頼綱に雇われてるんだもんっ。使用人が、自分のライフラインを握る雇用主に全幅の信頼を寄せていたって不思議じゃない、はず。……多分。  でも……。  こんなに小さくなってしまった私じゃ、家事なんて出来ないし、例え見つけてもらえてもお払い箱にされてしまうかも。  そう思ったらにわかに不安になった。  頼綱に要らないって言われたら私、住むところもないし……どうしたらいいんだろう。  いつの間にか、こんなにも頼綱に依存していたのだと気付かされて、それが心許(こころもと)なさに拍車をかけて涙目になる。  そんな私の気持ちなんて知らぬげに私入りの小瓶を手にしたまま、久遠(くおん)さんの声がする。
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