瓶詰め

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「こちらが、女の子入りの小瓶です。昨日詰めたばかりの新鮮な女の子ですよ。プリザーブドフラワーが一緒に入っているので、このままインテリアとしてお部屋に飾っていただくのもおすすめです」  え? なに? どういう……意味?  久遠(くおん)さんの言葉の意味が分からなくて、私は思わず座り込んだまま顔を上げた。  と、横合いからヌッと伸びてきた無骨な手に、小瓶ごと持ち上げられて。  その手の主に、はぁっと大きく溜め息を落とされた瞬間、ガラスが曇って何も見えなくなった。  ヤダッ、怖いっ!  さっきの久遠さんの口ぶりからすると、私、この手の持ち主に持ち帰られてしまうかもしれないわけで。  そんなの嫌だ!  私、御神本(みきもと)家に……頼綱(よりつな)のところに帰りたいし、帰らなきゃいけないのっ!  どうにか瓶から抜け出せやしないかと上を見上げたら、ジャンプしたくらいじゃ届きそうにない高い位置に、しっかりとフタがされているのが分かった。  唯一の出口のはずの上部から出るのが無理だと思ったら、絶望的な気持ちになる。  このまま外の人たちの成すがままにされてしまうのだと気付かされた途端、怖くて怖くて全身がフルフルと小刻みに震えだして。  ……なのに恐怖ですくんだ身体は曇ったままのガラスから目を逸らせないの。  私から外が見えないということは、外からも(なか)が見えないということで。  もどかしげにガラスを覆った蒸気が指先でこすられて、視界が突然クリアになった。  相手がどんな人か見るのが怖くて思わずぎゅっと目をつぶったと同時。 「花々里(かがり)、探したぞ! 無事か!?」  縮こまって小さく身体を震わせていた私は、その声に思わず瞳を見開く。 「頼……綱……?」  探して……くれて、た?  頼綱の言葉にホッとしたのと同時に、自分がとんでもなく役立たずのちっぽけな親指姫サイズになっていることに思いが至って、堪らなく不安になる。
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