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「わ、私……」
泣きそうになりながら小さいなりに何か出来ることはないかと考えて……。
「た、タンスの隙間とか棚の隙間とか……入れるっ!」
ってガラスを叩きながら懸命に言ったら、キョトンとされてしまった。
そういうところに何か落っことしてしまった時、きっと役に立てるから。
だから出て行けって言わないで?
そう言いたかったのに、気持ちばかりが焦って意味不明なことを口走ってしまった。
それに、どうやらちゃんと話せたところで、小瓶の中に入れられた上に物凄く小さくなってしまった私の声は、頼綱には届かないみたい。
「貴方がお探しの女の子もこのお嬢さん――花々里さんでお間違いないですね?」
久遠さんが、私を手にした頼綱にそう問いかけて、頼綱が「ああ」とうなずく。
「花々里さん、目覚めてからずっと、小瓶の中で貴方のことを恋しがっていらしたみたいです。相思相愛ですね」
サラリと恥ずかしいことを久遠さんにバラされて、私は慌てて首を横に振る。
違います、違います、誤解ですっ!
けれど、久遠さんは何もかもお見通しみたいに、「うちのお店は商品に呼ばれた人、品物が選んだ人にしか道が開かれないようになっていますので」
とダメ押しをして。
それって頼綱がどんなに私を探してくれていたとしても、私が頼綱に見つけて欲しいって願わない限り会えなかったってことだよね。
もぉ、ヤダ。
めちゃくちゃ恥ずかしい……。
私は、真っ赤になって顔を覆った。
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