瓶詰め

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 ちょうどその時、視界の片隅――。  目覚めた直後は見つけられなかった緑のエコバックを見つけた私は、これだ!と思ってそれに手を伸ばす。 「や、八千代さんからお使いのお品、持って帰らなきゃって思っただけだからっ!」  その絡みで頼綱(あなた)のこと、思い出しただけよ?  そう言い張って買い物袋を指さしながら、「こぉー・れぇー・のぉー・たぁー・めっ!」と叫んで頼綱(よりつな)に向けて袋を振り回してみせる。  中には鳥もも肉とチーズが入っているけれど、腐ったりしていないかな。  ちょっぴり不安だし、何よりこのサイズじゃあ、持ち帰った所で何にもなりはしないのだと分かってはいるけれど。 「花々里(かがり)、元気そうで安心した。俺が必ず元に戻してあげるからね」  言われて、今度は私がキョトンとする。 「元に、戻れる……の?」  聞こえないのは承知でつぶやいたのに、まるでちゃんと聞き取ってくれたみたいに「戻せますよね、久遠(くおん)さん」ってここの店主に問いかける頼綱を見て、ソワソワする。  戻れないって言われてしまったら、頼綱は今度こそ私を見限ってしまうのかな。  不安になる私に、 「もちろん、お客様のご希望とあらば方法はございます。――ですが、少々危険を伴います」  と返してくださった久遠さんの声は、内容の不穏さはさておき、その時の私にはまるで天啓(てんけい)みたいに聞こえたの。
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