何に怒っているの?

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*** 「あ、あの……」  鏡の前で何度もチェックしてみたけれど、ノーパン・ノーブラなんて絶対に分かりっこない。  そう思っていても、そのことを頼綱(よりつな)の前に立つとなると、分かる分からないはまた別の話で。  モジモジしながら頼綱のそばに行ったら「下着つけてないの、分からないね」とか……わざわざ言わないでっ。  真っ赤な顔で頼綱を睨みつけたら、「まぁ、そう睨むなよ。第一今回下着を買わなかったの、ある意味なんだから」って私をじっと見つめてくるの。 「え……?」  下着は買えなかったと謝ってきたのは嘘だったの?  男の人が女性ものの下着を買うのはハードルが高かったのかな、仕方ないよねって自分に言い聞かせていた私としてはそれ、聞き捨てならなくて。  思わず「酷いっ!」って抗議したら、「どっちが?」って右手首をギュッと掴まれた。 「痛いっ」  言ったけど無視されて。  そのことに頼綱の怒りを垣間見た気がして怖くなる。 「さて、が何に怒っているのか、と言う話だったよね。花々里(かがり)、お風呂で答えは出せたかね?」  手首を捕まえられたまま、腰をグッと引き寄せられる。  そのままスカート越しに裸のお尻を撫でられて。  私は「ヤダッ、頼綱、やめてっ!」って泣きそうになりながら彼を見上げた。 「ねぇ、花々里。この可愛い口は憎まれ口しかきけないの?」
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