■スタ特③『無防備なキミ』

2/3

2661人が本棚に入れています
本棚に追加
/703ページ
 ――どうしてこの子は(おれ)の前でこんなにも無防備に眠れてしまえるんだろうね?  たらふく旨いものを食べさせて、さぁ今から色々話しながら帰ろうかという段になって、助手席の花々里(かがり)が「眠くなっちゃった……」とつぶやいて小さなあくびをひとつ漏らした。 「眠いのなら帰り着くまで休んでるといい」  目一杯年上ぶって大人の余裕を見せながらそう言ったら、「ありがとう」ってふにゃりと微笑んで本当に目を閉じてしまった。  ねぇ、花々里。そこは「もうちょっと我慢してみる」じゃないのかね?  そういうところも花々里らしくて可愛いのだが、やっぱりちょっと寂しいな?とも思ってしまう。  ほどなくしてスースーと愛らしい寝息が聞こえてきて、俺はどうしようもなくそれが気になって。  家まで車で15分足らず。  夜なので昼間より交通量も少ないし、それより早く帰り着いてしまうかもしれない。
/703ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2661人が本棚に入れています
本棚に追加