あなたの名前はね

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*** 「入院中にへその緒が取れて良かったですね」  助産師仲間の小野田さんが、松素材の小さな木箱に入ったへその緒を手渡してくれた。  木箱(それ)は、スタッフみんなからの出産祝いも兼ねているとかで、御神本(みきもと)レディースクリニックで普段使用されている無地のものより少しグレードが高いもので。  箱には、フタ側に生まれたばかりの時に撮ったうちの子の写真と生年月日、そうして『御神本(みきもと) 縁志(えにし)』という名前が印字されていた。  裏返してみると、縁志(えにし)の出生時の体重や身長などもプリントされていて。 「ありがとう! すっごく嬉しい!」  言ったら、「縁志(えにし)くんのへその緒、花々里(かがり)さんの入院中に取れなかったら空箱だけ渡すことになるトコでした〜」とペロリと舌を出される。  それはそれで問題はないのだけれど、やっぱりフタを開けてみて、真っ白な脱脂綿の上に、のような我が子のへその緒が乗っかっているのはいいものだな、と自然口元がほころんだ。
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