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「縁志くん、副医院長似ですよね」
生まれたばかりの頃は少し浮腫んでいて分かりづらかった顔つきも、生後5日が過ぎた今では、ハッキリとどこがどっち似というのが分かるようになっている。
「目元と爪の形だけは私なんだけど」
言ったら、「そこがアクセントになってていいんですよ〜。絶対パパよりハンサムさんです」とにこやかに断言されてしまった。
私はベッドの中で眠る縁志の顔をまじまじと見下ろして、内心「う〜ん、それはどうかなぁ」と思っていたりします。
だって、私にとってはやっぱり頼綱が世界で1番かっこいいんだもの。
縁志の顔は……そう、ただひたすらに〝可愛い〟。
「あ、いま花々里さん、『副医院長の方がカッコいいわっ♥』とか思ったりしました?」
途端見透かしたようにそう言われて、「はっ、ハートは付けてないからぁっ」と真っ赤になって小野田さんを見つめたら、「ですって! 良かったですね、副医院長先生♪」とカーテンの向こうに声を掛けられる。
私はそこで初めて、頼綱がすぐそこの死角に潜んでいたことを知った。
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