プロローグ

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プロローグ

「ねえ、かなちゃんの夢はなあに?」 屈託のない少女の(ささや)きが心地好い。 「……うん、究極の秘密基地をつくることだよ……」  少年はニッコリと笑うと少女の小さな唇にキスをした。 少女は少しだけ頬を紅潮させると少年に問いかけた。 「その秘密基地ってどこにあるの……?」 「えーとね、普通に街のなかにあるよ。外から見ると本当に普通のお屋敷なんだ。ただね、ものすごく大きなヨーロッパ風のお屋敷だよ。お部屋がいっぱいあるんだ。それに迷路みたいにいりくんだ造りになっているんだ。」  少女は少年の澄んだ瞳を見据えながら、さらに尋ねた。 「じゃあ、どこが究極なの……?」  少年の表情が明るくなる。彼は喜々として少女に答えた。 「まー、なんていうか、この秘密基地はね、外見は普通なんだけど、なかはね、カラクリ屋敷になっているんだ。いろんな仕掛けがあって、そこを訪れた人たちを煙に巻くのさ。ある人はワクワクするだろうね。でもほかの人はとんでもなくイライラするかもしれない……」
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