404人が本棚に入れています
本棚に追加
/508ページ
プロローグ
「ねえ、かなちゃんの夢はなあに?」
屈託のない少女の囁きが心地好い。
「……うん、究極の秘密基地をつくることだよ……」
少年はニッコリと笑うと少女の小さな唇にキスをした。 少女は少しだけ頬を紅潮させると少年に問いかけた。
「その秘密基地ってどこにあるの……?」
「えーとね、普通に街のなかにあるよ。外から見ると本当に普通のお屋敷なんだ。ただね、ものすごく大きなヨーロッパ風のお屋敷だよ。お部屋がいっぱいあるんだ。それに迷路みたいにいりくんだ造りになっているんだ。」
少女は少年の澄んだ瞳を見据えながら、さらに尋ねた。
「じゃあ、どこが究極なの……?」
少年の表情が明るくなる。彼は喜々として少女に答えた。
「まー、なんていうか、この秘密基地はね、外見は普通なんだけど、なかはね、カラクリ屋敷になっているんだ。いろんな仕掛けがあって、そこを訪れた人たちを煙に巻くのさ。ある人はワクワクするだろうね。でもほかの人はとんでもなくイライラするかもしれない……」
最初のコメントを投稿しよう!