神隠しと略取 3

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 次に叶夢は床に跪くと両手を胸の前で組み、祈りの言葉を捧げた。 「主よ、迷える子らに愛と恩寵を。私を恨み、呪う者たちにもどうか慈愛をお授け下さい。聖なるこの塗油によって、いつくしみ深き主・キリストが、聖霊の恵みによって彼らを助け、罪から解放し、救い、そして然るべき日に立ち上がらせてくださいますように、アーメン」  亜由美も麻美も、そして翔子も深く頷くと互いに手を握り合った。 「あたたかい……ここに神の愛が光り輝いているわ……」  亜由美のその言葉が麻美と翔子の法悦を喚起した。それは愛する者に仕える聖女たちのみに許された高貴な愉楽(ゆらく)であった。
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