夕焼け色の檻

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 僕の初恋の人は、5歳年上の幼馴染だ。  僕がまだ幼稚園生だった頃に、お隣に引っ越してきたハルさん。  よく笑い、よく泣き、よく喋る。活発で優しい女の子。臆病で内向的だった僕を外の世界へ連れ出してくれた人。  僕のことを「こーちゃん」と呼んで弟のように可愛がってくれる彼女を好きになるのに、そう時間はかからなかった。  小学生のときに勇気を振り絞って伝えた告白が、「うーん、私は年上の方が好きかな」という言葉であっさり破れたのは苦い思い出だが、幼い告白が失敗した後も僕はハルさんのことが大好きだった。  彼女に振られた日から、僕は変わった。  ハルさんが好きだというアイドルの髪型を真似してみたり、少しでも大人っぽく見えるように落ち着いた振る舞いを心がけてみたり、勉強もスポーツも常に良い成績を残す努力をした。気弱な少年の面影は、徐々に薄れていった。  そのせいか同級生の女の子に好意を向けられることもあったけれど、僕にはハルさんしか見えていなかった。  頑張れば頑張るほど、ハルさんが「すごいじゃん!こーちゃんは天才だねぇ」「こーちゃんは自慢の弟だよ」と褒めてくれるのが嬉しかった。  ハルさんに振り向いて欲しくて、僕は精いっぱい背伸びをした。
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