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「トマロには久しく会っていないけれども。セイ帝国に来ても変らない……本当にあいつらしいよ。悪かったな、友達が迷惑をかけたようだ」
サイカから薄紙に包んだ帯を受け取ると、ギオンは微笑んだ。
「このご恩は忘れません」
帯を抱えたまま、背筋を伸ばして首を垂れてお辞儀をした。
ぱたぱたと、階段を駆け下りる足音が聞こえなくなるまでサイカは一人城壁に立っていた。
アカネ星が、夕日と共に昇ってくる。
かあん・・・と、銅鐘が夕刻を告げた。
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