第3話 ノブオとジュンジときよちゃん

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第3話 ノブオとジュンジときよちゃん

おじさんの機嫌が良さそうなので、僕は気になっていたことを聞いてみることにした。 「あの、さっきまでお人形みたいに小さかったですよね?気になっちゃって……」 「はっ、それ、それ言っちゃ……」 「えっ?」  僕が質問すると、おじさんは何か思い出したようになって、そして、ぽんっという感じで先ほどの小さな姿に戻ってしまった。 「えっ? えっ? なんか、すみません……でも、どうして?」  僕は地面で小さくなったおじさんに近づきながら言った。 「たぶんね、指しゃぶりなんだわ。指しゃぶったもんだから大きくなったんだけど、その指しゃぶったことを忘れてないと大きいままでいられないんだな。いやー、これがけっこう忘れていられるもんだからさ、わりといつまでも大きくいられるんだけど、たまに思い出すんだよな」 「へー、そうなんですか」  寝てる間、指しゃぶりしてるの自覚してたんだな。  で、握手したんだな……    いや、でも忘れてないと大きくいられないわけだから、おじさんは握手のときは覚えてなかったってことか……  また人の悪いところを探そうとして疑ってしまった、という自己嫌悪と話のややこしさから、僕は軽く頭が痛くなった。 「まぁ、小さくても大きくても、どっちも大した問題ではないからな。それにしても……普通の人と話するの久々だな! なんか俺、本当にうれしいんだよ!!! 兄ちゃんの名前はなんて言うんだ?」  小さいおじさんはゲタでぴょんぴょん跳ねながら、ぎょろっとした大きな目をメガネの奥でキラキラさせながら聞く。 「あっ、僕はジュンジっていいます……お兄さんは?」  一瞬、おじさんと言うか、お兄さんと言うべきかでジュンジは悩み、答えた。 「俺はノブオっていうんだ! いいね、いいねぇ。名字じゃなくて名前で紹介し合うっていうのは……何年ぶりだろうなぁ」 「そういえば僕も……あれっ、なんで下の名前を言ったんだろう? いつもだったら絶対、名字で言っちゃうんだけどなぁ……」 「うんうん、そういうもんだ。この世界ではそういうことが起きるんだよな、きっと」  腕を組んで、うんうんと感慨深い様子でノブオは言う。  この世界では……そうだよ、ここは一体どこなのだろうか、ジュンジは急に思い出したようになった。
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