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color.0《はじまり》
__俺には記憶が無い。自分が誰で、どんな風に生きてきたのかも分からない。
中一の冬、事故に遭った。単純な交通事故だと聞かされた。……一時は生死を彷徨うほどの重体だったらしいけど、今はもう傷も残っていないし、そもそも自分の記憶が無いから分からない。
目を覚ました時、傍には一人の男の人がいた。
『__ごめんな。俺はもう、お前の傍にはいてやれない』
誰かは分からないのに、空っぽの自分を見つめて涙を流したその人を、俺は今でも探し続けている。
……「自分」を失ったあの日から、もう3年近くがたっているのに。
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