color.3《龍と燐》

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「っ………!」 「甘いっ!」 容赦なく腹を狙ってきた燐の蹴りをいなしつつ、後ろに引き下がる。 (こんなに重かったか……?) いくら久しぶりとはいえ、燐の一撃はここまで力強かっただろうか。いや、細身にしては元々怪物並みの力を持っていただけだ。それを使ってこなかったのだろうと思い直す。 龍だって体を動かす事自体は好きだし、朝は走り込みをしたり筋トレも欠かしていない。だからまだ体格で勝っている龍の方が攻撃を受け止めきれるが、燐の一時の隙もなく繰り出される連撃を躱す事に必死で反撃の余地も無かった。 「ほらほらっ!まだまだいくよっ!」 「っ!?」 一撃目は防いだが、次に繰り出された拳が肩に命中してよろけた。ぐっと踏ん張ったものの、これじゃ次の攻撃で終わってしまう。 (くっそ、何でコイツこんな強えの隠してんだよ!) あれだけドンパチやってたのに、燐がここまで強いとは予想もつかなかった。 「よそ見しないでよ!」 最早躱す、いなすというよりは正面から受け止める事しかできず、もろに燐の蹴りを手首にくらってしまった。 「いっ………」 骨が折れてしまったのではないかというくらいの激痛が走り、その場に崩れ落ちそうになる。しかし、燐の攻撃は終わらない。 「ボクは!キミより強いよっ!」 肩、手首にとどまらず、腹に衝撃を受ける。 「ぐっ……!」 「もう終わり?リュウってそんなに弱いのかよ!」 「まだだ……っ」 挑発するようにニヤリと笑った燐に、今度は龍から仕掛けた。体格的にリーチでは龍のが有利だ。懐にさえ潜り込ませなければ、勝てる。 「__おらっ!」 思惑通り、龍の放った蹴りを防ぎきれずに頬にくらった燐は大きく体を反動で逸らす。その隙に乗じて、龍は敢えて一気に距離を詰めた。
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