ヒロシ外伝

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「ヒロシ?嘘でしょ?ねぇ、ヒロシってば」 俺の体中をまさぐる母親の姿を見て、複雑な思いだった。そんな所まで触らなくて良いだろうって思うも、一向に起きない俺に、母ちゃんは不安や焦りを覚え始めていた。 『ねぇ、母ちゃん?何回もさっきから言ってるよね?俺は起きているって?』 「……パパ……パァァァァパァァァァ」 母ちゃんがまるで滑走路から飛び立つ、スキージャンプ選手のように階段を下りていく。 『おいおい、母ちゃん?そんな特技持ってたの?』 父ちゃんが階段を2段飛ばして登り、母ちゃんは負けじと大股で3段飛ばしで登ってくる。 『かっ、母ちゃん……どんだけ負けず嫌いだよ』 駆け寄る父ちゃんが俺の左側に、そして母ちゃんが右側に座り、俺の首や足首、そして手首を触り脈を確認した。 硬直していない体を不審に思うも、脈打たない体を認めると、2人は何やらひそひそ話をした後、力なくその場で崩れた。
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