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『待たんかぁぁぁぁぁい』
神々しい光とともに、突如目の前に現れた謎のじいさん。白い民族衣装を身に纏い、如何にもRPGで出てくる賢者のような出で立ち。
『なっ、ビックリした……っつか、誰よ?』
こっちは、欲望に駆られている状態だ。時間は刻々と迫っている。
『おぬし、わしを知らんのか?』
『ごめん、マジで知らん。人違いじゃない?ってか、マジでそこどいて?俺、急いでるの』
じいさんの横を通り過ぎようとした時、『待たんかぁぁぁい』と再び呼び止められた。だが俺は、気にも止めず前に飛び進めた。
しかし……。
『うん……あれ?』
おかしい……どうして……。
オアシスに向かい飛び始めたのに、さっきから全く進まない。こんな状態では、到底ハッスルタイムに間に合わないじゃないか。
『くそ……何が起きているんだ。こんな不完全燃焼では……』
一旦止まり、ふと振り返るとじいさんが俺に向かって、両手を伸ばしながら目を閉じ、何やら念を唱えていた。
『……もしかして、あんた?』
じいさんは目を開けて、『ふっふっふっ……行かせんぞ、小僧』と不敵な笑みを浮かべた。
『余計な事するなよ、じいさん。俺には、行かなくちゃいけない理由があるんだ』
『ふん、何を大層な事を。ただ、着替えを覗きたいだけの変態じゃないか……それに、負けられない戦いがあるみたいな誇大な言い方をするでない』
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