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 渡されたミルクティーは、ほんのり甘い。はちみつの味がする。 女性は、河野(こうの)摩耶子(まやこ)さんという。息子さんは、朔也さんというらしい。 「私は、高橋いのりといいます」  そして、信じてもらえないかもと思いつつ、猫を追いかけてこの家に来た経緯を話した。 「あら、そう。でもあの子なら不思議じゃないかもね」  摩耶子さんは、にっこり笑った。 ミルクティーを飲み終わる。 このままもっといたくなる気持ちを抑えて、カップをテーブルに置いた。 「今日は、本当にお世話になりました」  摩耶子さんは、もう少しゆっくりしていったらとか、何なら夕ご飯もいっしょにどうかと、引き留めてくれる。せっかくの好意を無下にするのは心苦しかったが、私にはもう十分だった。 「あの、初めて会った方にそこまでしていただくのは、申し訳なくて」 摩耶子さんは、「わかったわ」と言って、くふんと笑う。 「じゃあ、私がご飯を作り過ぎた時は連絡するから、またいらっしゃい」
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