2.

4/6
前へ
/22ページ
次へ
電話番号は? メール? アドレス交換? 朔也ー! これどうやってするんだっけ?  摩耶子さんが呼ぶと、奥から「何騒いでる」と言いながら、朔也さんが出てきた。少し不機嫌そうな顔だ。摩耶子さんは気にする風でもなく、説明して携帯電話を渡している。  朔也さんは座って、私の携帯と合わせてささっと操作すると、摩耶子さんに返す。 「いい加減、覚えて」 「いいじゃないの。わからなくても、こうしてやってもらえるし」  摩耶子さんは、ねーっと、小首を傾げて私に同意を求める。 「あ、あの、はい」 「ほら、困ってるだろ」 「だあって、それを覚えてる間に、もっとしたいことあるもん」  私は驚いた。ほほをふくらませた摩耶子さんは、駄々っ子みたいだ。 「あ、摩耶子さんは大人の顔してるけど、違うからね」 「あー、朔也だってそうでしょ。いまだにピーマン食べられないじゃないの」 「はあ? それ、次元が低過ぎだろ」  今度は朔也さんの方が、ムキになっている。  こんな風に言い合いながら、毎日過ごしているのだろうか。  私は笑いがこみ上げてきた。  気が付くと、摩耶子さんが私を見て、微笑んでいる。 「いのりちゃん、やっと笑った。笑った方がいいわ」  そうか。  近頃の私は、感情の起伏が無かったかもしれない。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加