第七話 非合法SMサロン

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第七話 非合法SMサロン

 はじめの頃はわけがわからなかったが、私が最初に誘拐され連れてこられたのは、アフリカのある秘密裏の施設だった。世界の富豪達の娯楽のために作られたという。  そこは私兵が置かれ、警察も内部には手を出せない。秘密の会員のみが入れる非合法SMサロンがメインで、人身売買オークションなどが行われる、狂気と快楽のリゾート施設だ。  イザベラはそこで、私の絶対的な女調教師になった。  私は人権を奪われ、首輪ひとつに裸の奴隷となって暮らすことになった。  彼女の命令で麻薬依存から足を洗い、躾を受け……破廉恥な奴隷検査とやらに受かり……私は彼女の所有物となって飼われた。    飼われているうちに、しだいにイザベラのことが分かってきた。  女性調教師をしているのは趣味で、彼女自身も富豪であり、ここではVIP待遇であること。    富豪の客を鞭打つことはあるが、飼っている奴隷は私だけであること。  沢山の人に愛されていること。そして心に大きな愛を持っていて、死にそうな男を見捨てられないこと。    私が麻薬をやっていると噂で聞いて、放っておけなくて、組織の私兵に依頼して誘拐させたこと……。  彼女だけが、大富豪の自分ではなくて、SOSを放つたった一人の男として私のことを見てくれていた。
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