第七話 非合法SMサロン

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 イザベラの側にいると、温かな空気に全身が包まれる感じがする。  初めて知る人のぬくもり。初めての女性の身体。  蜜月だった。  あんな幸福は二度とはないだろう。  私にとって、このアフリカの狂気の都は癒しの場所、別天地だった。私は奴隷である幸せに心から安堵していた。  全裸に首輪をつけられ、床に丸くなって、女主人の足元で眠ること、心から服従することが、こんなにも至福であることを知らなかった。  ありのままの私を受け入れてもらうことに、自分が飢えていたなんて知らなかった。イザベラに会うまでは。  彼女は私の憧れであり、崇拝対象であり、女神だった。  鞭を持つ彼女はまさに女王であり、女帝であった。  彼女のことを書くには、どれだけ語りつくしても足りない。  「震えるコマドリ」とイザベラは私を評した。繊細で、感じやすくて、孤独な男だと。    私の不安定な心も、さまよえる魂も、彼女は愛してくれた。  時折加えられる折檻も、苦辱も、彼女のためなら私は嬉しかった。    だがしかし、やはり私でも戸惑うような命令も時にはあった。  マゾ願望を持つ富豪のための「被虐の館」で、個室で彼女の調教を受けていたときだ。  「今日はお披露目をするわよ。この館の外に出るの」  黒のロングワンピースに、黒い編み上げブーツを履いたイザベラが、私の首輪の鎖を引いた。  私は言われたことにめまいがするほど驚いた。  私は裸だ。身に着けているのは首輪だけだ。身体のあちこちに鞭の跡もついている。完全な奴隷だ。 「行き場所は黄金宮よ」  黄金宮! 会員専用のホテルじゃないか。  まずい、顔がばれてしまう。社交界での知り合いもいるんだろうか? そんなことには耐えられない。
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