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第八話 二人の時間
私は分からない。
痛みを越えて、欲しいものが何なのか。
だから彼女に懇願する。何を求めているのかも分からずに。
黄金宮からの帰り道、私は全裸に四つ足で、金髪も乱れたままよろめきながら通路を歩いていた。
それを見て、イザベラが呆れたように言った。
「馬鹿な仔犬。ぶざまで、哀れな仔犬。しつけも出来てない。あそこの客はかなりの上品な客たちよ。もうちょっと持つかと思ったんだけど」
その言葉に私はただ恥じ入って、身をすくめていた。
私は彼らに輪姦されたが、3人目ほどで気を失ってしまって、そのあとは何をしても起きなかったと、目が覚めた後から聞かされた。
恥ずかしかった。
多分、残りの男たちは興覚めだったことだろう。結局、私は女主人も、男たちも、満足させることは出来なかったのだ。
彼女は私が乱暴されている間、私から離れたところで、富豪達を相手にチェスをしていた。
どうしたらいいか分からなかった。何をしたら、この女主人は満足してくれるのだろう。
何か決定的なものが足りない。私は心の中で身もだえしていた。
彼女が欲しい。
だのに与えてはくれない。
私の痴態を、彼女は離れた場所で見ていただけだ。興奮も満足も見せずに。
「今日はもう休みなさい」
私が初めに連れてこられてた寝室に戻された。豪華なベットルームに、しつらえた調度品の高級な部屋。
私は柔らかい寝具のベットに倒れ込むように沈んだ。
イザベラがベットの端に座り、私に声をかける。
「いいわね、あなたが地球を何周しようとも、私は変わらない。あなたが黄金いっぱいの部屋を私に贈っても、あなたは私の意思を曲げることは出来ない」
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