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トク、トク、と互いの心臓の音が響き合う。
心地よいそのリズムに身を委ねていると、不意に白石くんの声が耳を擽った。
「抱きしめて、次は?」
「え……」
「僕が不甲斐ないせいで橘さんを泣かせてしまったから……ちゃんと信じてもらえるまで、なんだってやります。……それから?」
それから、って……
ちらりと見上げると、白石くんは至って真剣な表情でじっと私の返事を待っている。
「……す、きって」
「ん?」
「好きだって、言って、欲しい……」
もう一度、自分の耳で確かめたい。
そう思って勇気を振り絞ったのに、やっぱり恥ずかしくて語尾が小さくなってしまう。
目を合わせていられなくて逃げるように視線を落とすと、目の前で白石くんの喉仏がコクンと動いた。
「っ、好きです、橘さん……
僕、何回だって言いますから。好き、好きです!大好きです!!」
「あ、もう……わか、わかったから……
私も……ずっと白石くんのこと、好きでした」
言い終わると同時に、白石くんの腕が私の背中を苦しいほどぎゅうぎゅうと掻き抱いた。
「夢みたいです……昇天しそう」
「ふふ、なにそれ」
肩越しに白石くんの涙声が聞こえてきて、私は少しだけ笑ってしまった。
夢みたい。
それは、こっちのセリフだよ…………
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