抗えない想いを胸に秘めたまま、おまえの傍にずっといたい

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 青年が突如会話に割り込むと、女性が掴んでいた耳たぶをさらに引っ張った。 「痛いって! 八つ当たりしないでくれよ」  耳たぶを引っ張る手を自ら外せば痛みから解放されるというのに、それをせずに青年はむくれたまま女性を睨む。反抗的な態度を目の当たりにしたせいか、女性は声を荒げるように口を開いた。 「大人の話し合いに、いきなり割り込まない」 「僕だって大人だろ!」 「私たちの生きてる時間の長さは、キースの何倍もあるんです。それに比べたら、子ども扱いされて当然でしょう?」  ベニーの後ろから目の前の様子を窺うと、女性はセリフの同意を促すように、笑いながらこちらに視線を飛ばした。  すべてを包み込むような、慈愛に満ちた微笑――俺から見ても素敵だなと思わせる女性の笑みに、ベニーは少し困った表情を浮かべて返事する。 「彼としては、子ども扱いされたくないのでしょう。職場で窺う様子からは、一生懸命に背伸びしているように見えます」  ベニーが肩を竦めた動きで乗っている俺の身体がぐらりと揺れたが、いつも通りバランスをとってやり過ごした。 「キース、そうなの?」 「そんなのしてないって。ロレザス先生、余計なことを言わないでください」  夜目でもわかるくらいに、顔を真っ赤に染めた青年。隣でそれを見た女性は不思議そうに首を傾げたが、ベニーはどこか嬉しそうに瞳を細めながら微笑んだ。 (今の話の中で、笑えるところがあるとは思えないのに……)  目を瞬かせてきょとんとする俺の頭を撫ではじめたベニーは、先ほど青年が弓で射って獲物が落ちた場所に、空いてる手で指をさした。 「早い者勝ちということで、さっきのアレを君に提供します。それともう二度と、食事の邪魔をしないでいただきたいです。探すのに苦労するのが、わかっているでしょう?」  いつも以上に俺を優しく撫でるベニーの顔を、青年は黙ったまま穴があくほどじいっと見つめた。 「…………」 「キース、ロレザス先生にちゃんと返事をしなさい!」
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