0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「あなたの行き先は、」
先ほど遮られた言葉を再び口にしようと前を向くと、そこには誰もいなかった。
電車の走行音だけが、変わることなく響いている。
『次は、○○、○○。お降りのお客様は―――』
列車はゆるやかにスピードを落とし、駅のホームへと滑り込んでいく。
ここで降りなかったら、二度と帰れない。
そんな気がして、鞄を掴んで立ち上がった。
ドアが開く。
息を吸って、ホームへと足を踏み出した。
最初のコメントを投稿しよう!