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《タタンタタン...タタンタタン...》

どれ位の間眠ってしまっていたのだろうか。

硬い背もたれに預けていた背中が痛い。瞼をゆっくりと開くと、車窓からの光が一気に視界に飛び込んできて思わず目を閉じる。
再び目を開けると、前のボックス席に一人の男が座っていた。
夏も終わりすっかり秋の空気になったとはいえまだ昼間の暑さは残っている。だから今日は、ブレザーを着るのをやめてきたのだ。しかし、男は真っ黒なロングコートに身を包み、黒いハットを目深にかぶっていた。
ピンとたった襟と帽子のつばの隙間からのぞく目と視線が交わり、じっと見つめ返す。