氷と風と君の物語

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 その日、私と彼はいつもの様にスケートをするため、湖へ行きました。  物凄く天気が良くて、日差しに温かみを感じるような日でした。 「今日こそは、氷と対話できるような気がする。風と一体になれる気がする」  クリフォードはそう言っていつもの様に滑り始めました。  鮮やかに滑らかに、彼は氷の上を滑っていきます。 「ああ、ダメだ。こんなんじゃダメだよ」 「素晴らしい滑りだと思うけれど?」  私がそう言って、彼は強く頭を左右に振って否定するばかり。 「ちっとも氷と語れない。風と一体になれないんだ」 「でも、これ以上どうすればいいのか私にも分からないわ。あなたは上手に滑っている。それは事実なのよ?」 「でも、僕が目指しているのは上手いとか下手とかじゃないんだよ。ただ、ありのままに……」  クリフォードがぴたりと喋るのを止めました。 「そうだ、ありのままだ、ありのままだよ!!」  彼は突然そう叫んだのです。  私は驚いてしまいました。 「どうしたの、クリフォード? あなた変よ」 「変だって? ちっとも変じゃないさ。分かったんだ。自然に受け入れてもらう方法がね」  私は猛烈に嫌な予感がしました。 「ダメよ、クリフォード。それはダメ」 「ダメじゃないさ。完璧なひらめきだよ。僕はありのままを自然に見せて無かったんだ」 「違うわ。そうじゃない。それは絶対に間違っているわ」 「そんな事ない。そもそも、君は僕が考えている事が分かるのかい?」 「ええ、わかるわ。何一つ間違いなくね。あなたは混乱しているのよクリフォード。お願いだから落ち着いて」 「無理だよ。僕はやるしかない……やらなきゃいけないんだ」
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