氷と風と君の物語

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 そう言って彼は、私が止めるのも聞かずに、全裸になりました。  一糸まとわぬクリフォードの姿に、私は戸惑いを覚えました。  初めて見る異性の裸。お尻が、妙に白くて綺麗だったのを覚えています。 「ああ、寒い。寒いよ。風を感じる。冷たさもね。今僕は、ありのままの姿を自然にさらしている」  彼は両手を天に掲げ、大声で叫びました。  それと同時ぐらいだったでしょうか。クリフォードの奇行に気付いた周囲から悲鳴が上がりました。  無理もありません。この寒さの中、突如全裸になって絶叫している青年なんて、恐怖の対象でしかありません。私も怖かった。凄くね。でも、クリフォードを止めなきゃって思ったんです。 「クリフォード、駄目よ!! 早く服を着て頂戴!!」 「僕は行くよ。今こそ、氷と対話できる気がするんだ」  そう言って、クリフォードは走り出しました。  もちろん、湖に向けて。  湖で遊んでいた子供達は、口々に絶叫やら悲鳴やらを上げ、あっという間に逃げ出しました。  当たり前ですね。何人かは転んで、友達に助け起こされながら逃げていました。  思わず目を覆いたくなるほど酷い光景でした。  繰り返しますが、その日は天気が良かった。日差しに温かみがあって、氷の表面は少し濡れた状態になっていました。  スケート靴を履いて氷の上に出るのと、そこがぺたんこの靴で氷の上に出るのでは全く違います。普段はいている靴は、獣の皮が裏側に貼ってあって、それが滑り止めの役割をしてくれるのですが、裸足ではそうは行きません。
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