2.陰陽師が見る宵山

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「お前たち、いい加減にしろ。私を無視するな!」  追坂君の力の確認を優先させていたら、鎧姿のおじさんに怒られてしまった。  結構迫力のある声だったので、 「すみません……」 「ごめんなさい!」 わたしと追坂君は反射的に首をすくめて謝った。 (あれ?なんで謝ってるんだろう?)  すぐに我に返り、内心で首を傾げたが、おじさんはわたしたちの素直な謝罪を聞き、気を良くしたのか、「ふむ」と言って腕を組み直すと、 「お前たちには、私の姿が見えているようだな」 と言った。わたしは、おじさんの迫力に負けない様に胸を張ると、 「見えているわ。こっちの彼は……たぶん、今だけだと思うけど」 と答える。 「なるほど。いい召使を見つけた」  おじさんはわたしの答えに、にやりと笑うと、 「お前たち、私の家来になれ」 と命じた。 「は!?」 「家来!?」  突然の命令に、わたしと追坂君が素っ頓狂な声を上げる。 「私は探し物をしている。ひとりでは探し出すのが難しいと思っていたのだ。人の世の物は、人の世の者に探させる方が効率が良かろう」  どうやらこのおじさんは何か探し物をしていて、それをわたしたちに見つけさせたいらしい。  このままだと、ややこしいことになりそうな気がして、 「良く分からないけど、わたしたちは今、友達と宵山を回っているの。あなたの家来になっている暇はないわ」 わたしはきっぱりと断ると、 「行きましょう、追坂君」 と彼の手を引っ張った。 「えっ、あ、うん」  おじさんの命令に呆気に取られていた追坂君が、慌てたように返事をする。
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