2.陰陽師が見る宵山

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 わたしはおじさんに視線を戻した。別におじさんの頼みを聞く義理はないのだが、本当に困っている様子なので、見捨てるのも可哀想な気がして、 「追坂君、わたし、このおじさんの頼みを聞いてあげようと思う。追坂君は付き合わなくていいから、実穂たちと合流してちょうだい。わたしのことは、用事を思い出して帰ったとでも言っておいて」 と追坂君に頼んだ。すると追坂君は、素早くわたしの手を取ると、 「水臭いこと言わんといて。僕も手伝うし。探し物するなら、人数が多い方がいいやろ?」 と言って、おじさんの方を振り向いた。 「家来は無理やけど、お手伝いは出来ると思います」  おじさんに笑い掛けた追坂君を見て、わたしは思わずドキッとした。 (今の笑顔、ちょっと颯手っぽかった)  もし、颯手がわたしと同い年だったら、こんな感じだったのかもしれない。
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