0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ーー今日で最後かぁ」
4人は最後の絵描きの授業を迎えていた。最初の鳥居の手前に自転車を停めると、いつものようにお宮に行こうとした時だった。
「あっ、これあのカマキリじゃない?」
カズミチはそう言うと、カマキリに手を合わせた。
「カマキリの長よ・・安らかに・・」
「うわっ、頭食われてる・・」
するとヒカリはカズミチと同じように手を合わせ呟いた。
「・・かげぼうやだよね?長い間ひとりで寂しかったよね?
最初の日、私達の前に姿を見せたのも遊ぶつもりだったんだよね?
私だけに話しかけてくれたの嬉しかったよ。・・またね」
それを見てマミは笑いながら言った。
「あはは、ヒカリもカズミチと同じことしてるー。珍しいね」
「やっとヒカリも僕の考えを理解してくれたか」
すると、ヒカリは悲しげな笑顔を見せて言った。
「・・そうかもね」
「ーーそれじゃあまたねーっ」
ある日の学校帰りのこと。帰り道には「車の道」と「山の道」の2つあるのだが、この日は山の道から帰っていた。
友達と別れ、家までは1人になる時間があるのだが、正面から女性が歩いてくる。
「こんにちはーっ」
ヒカリはいつも大人と会った時は必ず挨拶をする。今回も普段と変わらない。だが、普段と違うことがあった。
「あ・・、こんにちは・・」
この近所で見たことがない人だった。たまにあることだったため、ヒカリはそこまで気には留めなかった。だが、ある瞬間からその意識は過去の記憶を探り始めた。
「あっ・・」
ある記憶に辿り着いたヒカリは後ろを振り返った。
「やっぱりね・・。やっと見つけた」
光生宮に停まっていた車がそこにはあった。
最初のコメントを投稿しよう!