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片付けを終え、4人は階段を降りていると、見たこともない程に大きなカマキリを見つけた。
「何これっ、気持ちわるっ」
それを見た4人が共に同様の反応をした。
「さすが光生宮と言われるだけあるなぁ・・」
「カズミチ、どういうことよ?」
「ここは光生宮。
かげぼうやは生け贄になった子供の妖怪。
亡くなった子供達に光を与えることで、その子供達は妖怪として新たな生を得られたんだと思うんだよね。でも、かげぼうやはあくまで光を得たことでかげとしていられる」
「何を言いたいのよ?」
「このカマキリも実はもともと死んでたやつで、ヒカリがここに来たことで、妖怪カマキリとして新たな生を得られたんじゃないかと」
「何そのこじつけみたいな変な話」
「学校に持って帰りたいけど、これだけ大きいと捕まえるのも危ないね」
カズミチはカマキリに手を合わせて言った。
「カマキリの長であるあなたに出会えて幸運でした。また会えることを楽しみにしています」
「ーーねぇ、カズミチ」
「ん?」
「光生宮って何を祀ってるの?」
ヒカリは最初の時に例のカマキリを見て、祖父に光生宮について話を聞いてみていた。祖父の話では丑の刻詣りの話やかげぼうやという子供の幽霊が出るという話、それからよくそこで肝試しをしていたという話を聞いていた。カマキリに関しては「山の方だから大きいのくらいいるだろう」とのことだった。だが、何を祀っているかまでは知らなかった。
「あそこは光の神様、つまりは太陽の神様天照大神だよ。でも、あそこでは光生神って呼ばれてるけどね」
「何で?」
「光生宮は天照大神の隠れ宿なんだよね。でも、どうしても光輝いてしまうから、光生神という別称を使ってるんだよ」
「何でかげぼうやってひかりぼうやじゃないの?」
「そんなことは僕に聞いたってわからないよ。
でもたぶん、もともと死んでるんだから身体なんてないよね。だけど、光を得たことで身体を持つことができたんじゃないかと思うんだよね。でも、光を得てもかげしか残らなかったからじゃないかな。
なぜかげしか残らなかったかまではわからないけど・・」
「ふーん・・、ありがと。
ねぇ、お宮の奥に小さな建物みたいなのがあるじゃん?
あれって何か入ってるの?」
「本殿のこと?あそこは神様の寝床らしいよ」
「じゃあ空っぽ?」
「どうなんだろね。お宮の掃除は年一回あってるらしいけど、本殿の掃除は聞いたことないね」
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