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「ーーかげぼうやってどこにいるんだろうね」
3回目の絵描きの授業を迎えていた。
「たしかに、なんだかんだ言って実際に見たって話は聞かないよね。まあ、こういうのって2度とそういうことが起こらないようにって意味も兼ねてると思うからね」
「今度連休があるじゃん?その時の夜、みんなで来てみない?」
「えー、ヒカリ。それはさすがに無理だよ。お母さん達も絶対許さないだろうし」
マミの家庭はいわゆるきちんとした家庭だった。比較的裕福な生活を送っているのは周知のこと。母親は専業主婦で、それは父親がそれなりに稼ぎのいい仕事をしているからこそ。小学校の役員などもしており、子供の教育にも厳しい方であった。
「私の家に泊まりに来てるって言えばいいじゃん」
「でも、絶対電話するよ。そしたらばれちゃうよ」
「大丈夫だって。私の家に集まって、それからみんなが寝た頃にコソッと出掛ければいいんだから」
「僕も無理だろうな」
「わかった。カズミチは無理ね」
ユウジロウは?」
「はは・・、俺はたぶん何も言われないかな。親も仕事で忙しそうだし、こないだも遅くに帰ってきたら「あれ、部屋にいたのかと思った。早く寝なさい」みたいな感じだったし」
「じゃあ、僕はユウジロウの家に泊まりに行くって親に言ってみようかな」
「うん、好きにして。
とりあえず連休までに計画を練って、肝試し大作戦を成功させよっ」
「ーーここに布団置いとくからね。あんまり遅くならない程度に寝なさいね」
予定通りヒカリの家に来ていたマミ。カズミチもユウジロウの家に泊まるようになっていて、後で光生宮を下ったところにある公民館で待ち合わせるようにしていた。
「ねぇ、何かあると思う?」
「うーん・・どうかな・・。私、どっちかって言うと変な人がいないかの方が不安。
犯罪者って意外とああいうところに寝泊まりするって話も聞くし」
「武器ね、武器。木刀だけは1本だけだけど準備してる。あとはじぃじの工具箱からナイフ。どっちがいい?」
「うーん・・、ナイフかな。木刀は自転車乗りにくいし」
「懐中電灯は持ったから、あとは時間が来るのを待つだけね」
「ーーこの時間になるとさすがに寒いなぁ・・」
「はは・・、そうだね。ん、あれじゃない?」
「たぶん間違いないね。言い出しっぺの方が遅いというね」
夜もふけた。公民館ではすでにカズミチとユウジロウが待っていた。
「行こっ。急がないと間に合わないからっ」
ヒカリは自転車に乗ったまま、2人に言った。
「急がないとって・・、僕達が自転車に乗る前に・・。
ユウジロウ、じゃあ行こうか」
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