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4人が光生宮の鳥居に着くと、軽自動車が停まっていた。中を覗くと誰もいない。
「げっ・・、これヤバイんじゃない?」
「人がいるやつか・・」
「もうやめようよ・・」
3人が弱気になっている中、ヒカリは強気だった。
「人がいるなら安心できるじゃない。みんな武器は持ってるでしょ?
襲われそうになったらそれで攻撃したらいいのよ。車って言ったって1台しかないじゃない。さぁ、行こっ」
万が一に備え、自転車を最初の長い階段下まで押して行くことにした。それぞれに気を張っているのか、誰も言葉を発しない。
すると、上の方で女性の悲鳴らしき声が聞こえてきた。
マミは自転車を押す手を離し、近くにいたヒカリの身体に抱きつくようにして、小さな悲鳴を上げた。ヒカリとユウジロウは一瞬身体を強張らせる様子を見せたが、静かに状況を窺っているようだった。残るカズミチもマミと同様にユウジロウの手を掴んで小さく声を上げた。
夜深き時。自転車の倒れる音がやけに大きく聞こえたが、またもとの静かな空間に戻る。
「女の人が誰かに襲われてるのかな?」
「肝試しって感じの悲鳴じゃなかったよね。でも人に襲われて助けを求めてる感じもしなかったけど」
「おいおい、ユウジロウもヒカリもやけに冷静だな・・」
4人はその場に佇んだまま、マミ以外の3人はお宮のある上の方に目を向けていた。
「あれ、なんか光が見えない?」
「そうね、・・懐中電灯かな。
一旦隠れましょう」
4人は林の中に自転車ごと入っていく。できるだけ奥に入り込むと、自転車はスタンドを立てずに横に倒す。それから懐中電灯を消し、それぞれに身を寄せ合う。
遠くに見えた光は少しずつ近づいてくる。
「・・みんな、もし襲われそうになったら一気に攻撃するからねっ・・」
ヒカリは皆に声をかける。
その光は色んな方向を照らしながら進んでくる。
瞬間瞬間に自分達の方にその光が向く。4人はさらに身を小さく寄せ合う。
「・・・・。・・ちゃダメ。・・いちゃダメ。・・向いちゃダメ。・・ちゃダメ。・・・・メ。・・・・」
白っぽい服を着た女性らしき人が何かを呟きながら目の前を通り過ぎて行くのが月明かりにうっすらと見えた。
そのままに少し待っていると、車のライトが目の前を微かに照らす。そして、そのライトの光は強くなったり、弱くなったりを何度か繰り返した。
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