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「・・何やってるんだろ?」
「何だろ・・。でも、こんな時間に1人でこんな所にいるくらいだから普通の人じゃないよね・・。走りながら呟いてる感じもなんだか・・ね」
しばらく待っていたがその車は帰る様子はなかった。
「このまま待ってると家族の誰かが起きて気づくかもね・・。特にじぃじ・・。どうしよ・・」
「私達に気づいてるのかな・・」
「うーん・・、それはないんじゃ・・」
光生宮に着いた時には強気だったヒカリが弱気になっているところ、ユウジロウだけが冷静だった。
「あの・・、俺らの横を通り過ぎた時、車に戻るのに必死な感じがあったと思うんだよね。そして、ライトを付けっぱなしでたまに光が強くなったりしてるから、光生宮の方を気にしてるのかなって」
「もしかしてかげぼうやが出たんじゃ・・。僕らも襲われるのかな・・」
「・・かげぼうやかどうかはわからないけど、たぶん朝まであの車は動かないと思うんだよね」
「・・だよね。でもそれじゃ困る・・。
ユウジロウはどうしたらいいと思う?」
「ヒカリからしたら、今日は帰る方が優先だよね?
それなら思い切って帰った方が俺はいいと思う。もしかしたら、あの車も俺達がいるなんて思わないから帰るかもしれないし」
ユウジロウの案で4人は林から出て車の方に向かった。最初の鳥居を過ぎた所にある数段の階段に差し掛かった時、その車はバックし始めた。ライトが眩しくて中は見えない。
「帰ってったね」
「ほんとだ、ユウジロウの言うとおりだったね。ありがとう」
そのままに階段を降り、ヒカリは鳥居を過ぎる前にお宮がある方を少し振り返りながら後目に見た。
「ちょっと待ってっ」
ヒカリは3人を呼び止めた。
「何?どうしたの?」
「ねえ・・何かいない・・?」
「どこに?」
だが3人は何もないような返事をした。ヒカリは確認するように、だが恐る恐る後ろを振り返った。
ヒカリの目の前には頭から血を流す顔がそこにはあった。
悲鳴を上げるヒカリ。だが、相変わらず他の3人は何が起きているのかわかっていない様子。
「・・そこの門を過ぎたらボクは話せないからよく聞いて」
頭に直接流れ込んで来るような声。
「もしさっきの人と会ったら気をつけて・・。ボクはその人に怪我させられた・・。もうボクは死んじゃうと思うけど、お姉ちゃん達の色んな話を聞いてて楽しかったよ・・。またボクの生まれ変わりが出てきたら優しくしてあげてね・・」
声が途切れ、ヒカリはまたゆっくりと後ろを振り返った。カズミチは懐中電灯で辺りを照らした。だが、そこにはもう何もいなかった。
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