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一歩踏み出したところで向こうから誰かが走って来るのが見えた。
「え……………?」
走ってきたのはとても懐かしい顔で。
僕が会いたくてたまらなかった………。
「お父さん?!」
向こう側に立つ父は記憶のままの優しい笑顔を浮かべている。
「夏樹、こっちに来てはダメだ。来た道を帰りなさい」
何でそんなこと言うの?
僕はずっとお父さんに会いたかったのに。
「お前には待っていてくれる人がいるだろう?その人の所に帰りなさい」
「僕はお父さんと一緒にいたい」
お父さんは悲しそうな顔をして首を振った。
「いつかまた、ここで会えるから。お父さんはそれまでずっと待ってるから今は帰りなさい」
僕の我儘も笑って許してくれていた父がそう言うのだ。
今は帰った方がいいのかもしれない。
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