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「はい、リンゴ食べて」
渡されたリンゴは甘くてとても美味しかった。
「誰かに剥いてもらうリンゴってこんなに美味しいんだね」
美味しさを噛み締めて食べているとママは
「アタシが剥いたから美味しいのよ~」
とにこっと笑ってくれた。
「夏樹ちゃん……これからは絶対に幸せになれるからね。リュウちゃんに幸せにしてもらいなさいよ!」
ママは力強くそう言うと僕の手をぎゅっと握ってくれた。
握ってくれたところからじわじわと温かい気持ちになる。
僕は幸せ者だな……こんなに心配してくれる人がたくさんできたよ。
ガラッと病室のドアが開いて龍二が入って来た。手を握る僕とママを見て、途端に嫌そうな顔をする。
「ママ、夏樹の手を離せよ」
「やだーリュウちゃん!ヤキモチ妬き!」
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