言えない言えない言えないよ

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富士子は親にも言っていない。先生にも聞かれた時に答えただけだ。 ( その女の子、私なんだけどな。その優しくて頭が良くていい子が私ですって、イヤ、言えない、言えない、言えないよー。でもいつか彼女はその女の子が私と気が付くんだろうな。人の噂で。) 富士子が黙って聞いていると、彼女は、 「 また来週会いましょうね。バイバイ。」 明るく笑顔でサヨナラを言った。自分で仕返しをしようなんて考えた事もなかった富士子だったけれど、自分以外の人が仕返しをしてるのが不思議に感じた。 (2度と会いたくもないのに会うもんだな。) と、富士子は思った。
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