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通勤ラッシュ
私、鈴木千賀子(20)
会社まで電車通勤の為、毎日通勤ラッシュに巻き込まれている。
「次はー片浜。片浜ー。お降りのお客様はお忘れもののないよう、お気をつけ下さい」
そのアナウンスが終わって、数分で列車は駅に到着する。
列車のドアが開いた。
「ーーのいてー!!のいてー!!」
怒鳴るような大声を発しながら、年老いた白髪の男が入ってくる。
70は越えているだろう。
見た目だけで、私はそう思った。
「ーー」
誰に発しているかわからない怒鳴り声に、なるべく関わらない様にだろう。
少女は白いイヤホンを耳につけ、音楽を聞き始めた素振りを見せる。
年老いた男は、尚も怒鳴り続ける。
「ーーこんなもん」
年老いた迷惑じじいは、高校生くらいだろうか?少女の耳にはまっている白いイヤフォンを強引にとって、大きな声で話始める。
「ーーおじさん、入れないから。だからのいて!って言ってんのに、、」
耳が悪いのだろうか?
相変わらず声が大きい。
怒鳴っているような声。学生服を着たこの少女よりも、白髪の怒鳴り散らしている男の方が迷惑な存在なのは、明白だった。
ーーくだらない。
ーーちっちぇー男だな。このオヤジ。
満員電車の中で、あらゆる目が見知らぬ男に冷ややかな視線を向ける。
良くある日常の一コマだった。
私も遠くからそれを眺めていた。つい一ヶ月ほど前まではーー。
まさか、私がその対象になってしまう日が来るとは思いもしなかった。
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