友達

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101号室の部屋の間取りは、自宅とほとんど変わらない。 トイレやキッチンの場所が手にとるようにわかる。でも、問題点もあった。 それは、血の跡だ。 おそらく田中さんのモノだろう。 彼が亡くなって、まだ二週間しか経っていないせいで、軽く拭かれた程度になっている。 「ーーこれって、、」 山下さんは口を押さえる。 それもそうだろう。彼女は田中さんの遺体を見てしまったのだから。 恐怖を感じてもおかしくないだろう。 「ーーどーしてこんなアパートに住んじゃったの?」 千賀子は聞いた。 「私、人が死んだ部屋とか、そーゆーの全然平気な人でーーだから、特に何って事もないから住むことにしたんだ」 「怖く、、ないの?」 「ぜんぜん」 ーーつい二週間くらい前だよ?男性が亡くなったの。 そう言いかけて、千賀子はその言葉を飲み込んだ。 すると、藤木さんが言う。 「大屋さんに言われました。このアパートには住んじゃいけないとーーそれはなぜですか?」 ーーなぜ? そーいえば、私も言われたな、、イワクがついているからだと単純に思っていたが、違うのだろうか? そんな事を考えていると、山下さんがそっと口を開いた。 「このアパートには不思議なジンクスがあるんです」 「ジンクス?」 ーーこのアパートに住む人は必ず死ぬ。そう囁かれるようになってから、もう二年が経ちます。でも、不思議と住人が減らないんです。一人死んだら、また短期間で住み始める人がいる。大屋さんはこのアパートを解体しようと考えているのに、解体できなくて困ってるんです。 それで、、新たな加入者にはこのアパートに住んではいけない、と言い始めた様ですよ? 山下さんは説明した後で、ボソッと呟く。 「ーー私も、そろそろ引っ越しを考えているので、、」 その言葉の後に続く言葉を探していたが見つからなかったのだろう。誰も話さなかった。 死を招く部屋。 そこからの引っ越しはするべきなんだろう。 大切な命を守る為にーー。 初めての友達なのに。 千賀子は少しだけ残念な気がした。 それから山下さんが引っ越してしまうまでの間いろいろと楽しい時間を過ごす事にした。
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