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深夜
私にとって、二回目の夜になるこの日。
いつも通り眠っていた。
スタ、、スタ、、スタ、、。
ゆっくり静かに歩いてくる足音が聞こえた気がした。
しばらくしてその足音が止まる。
その時。
スーハースーハー。
人の深呼吸の様な声が聞こえた。
だれ?だれがいるの?
怖いと思いながら、私はゆっくりと目を開けた。
私以外、誰もいない。
いつもと同じ毎日が存在していた。
ーーなんだ。気のせいか。
ホッと肩の荷をおろす。
力が抜けていく。
再度、深い睡眠につこうとしたその時。
寝入り端の私の耳をつんざくような音がした。それはノックの様だった。
ドンドンドン。ドンドンドン。
言葉もないまま、誰かが力強くドアの戸を叩いているようだ。時計を見ると深夜2時。
こんな時間に来客などあり得ない。
こんな時間に?
一体だれが??
不思議に思いながら、玄関へと向かう。
扉を開けると、山下さんが立っていた。
深い闇のせいだろうか?
顔色が青白い。
「ーー山下さん、どーしたの?」
「死んでるの、、」
「は?」
「死んでるのよ。田中さんがーー」
私には全く山下さんの言う話が見えなかった。慌てている様子で、山下さんは言った。
「ーーいいから、ちょっと来て」
半ば強引に、私の腕を掴むと山下さんは101号室に連れていく。
ーーこれを見たら分かるわ。
青ざめた顔で山下さんが言う。101号室のドアが空いていた。
私は中を除き込んだ。
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