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タブー
キラキラと輝いている君が、好きだった。
仔犬のように濡れた目で私を見上げて笑う君が、好きだったんだ。
こんなこと許されない。
そう思えば思うほど、君に惹かれていく自分が止められなくて、息ができなくて苦しかった。強力な磁石のパワーに抗えないように、私の目は君に吸い寄せられていく。
君は、なんて眩しいんだろう。
若くて、力強い、生命力そのもの。あたたかな光を浴びて、天に向かってまっすぐに伸びていく植物のよう。
それに比べて。
私は、黒く濁った泥水のよう。
光の届かない、冷たく湿った土の上で萎びている私には、君は本当に眩しくて、輝いて見えたんだ。
好きだった。
大好きだった。
だから。
君から、離れなければいけない。そう思ったんだ。
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