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「…」
無言のまま視線を指先に戻した玲の瞳から、きらきらと輝くダイヤモンドのような煌めきが零れ落ち、その手の甲を濡らす。
ああ、レイが泣いちゃう、と内心で思った丈太郎はハラハラするが、
「ごめん」
と呟いた玲の声が涙で震えていないことに気がつき、ほっと胸を撫で下ろした。
「丈が、嘘をつけない人間だっていうのは、よく分かってる。だけど、ちゃんと本心を聞かせてほしい」
「うん?」
ずいぶん遠回しな言い方するなぁ、と思いながらも長い前髪に隠れて見えない玲の表情を窺っていると、肩で息をついた玲が、再び口を開いた。
「今日一日おれといて…平気、だったか?」
「え? うーん、と」
『本心を聞かせてほしい』と前置きをされた手前、丈太郎は即答を避け、今日一日のことを脳裏で思い返す。
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