恋したいから そばにいて

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  「ノンケ…ゲイなんか駄目だっていう、普通の感覚を持ってる丈にこんなお願いをするしかない自分が、本当に悪いんだ。 だから謝る必要は、ないんだ」  すん、と鼻を鳴らし、涙を完全に引っ込めた玲はため息紛れに笑むと、暗い表情をして俯く丈太郎から目を逸らし、軽い口調で話し出した。 「丈たちには話してなかったけど、こっちに引っ越すきっかけも、おれが作ったようなものなんだ」 「え…?」  じゃなきゃ高三なんていう微妙な時期に引っ越したりなんかしない、という玲の声を耳にして、丈太郎は驚き顔で微笑む玲の横顔を見た。 「体育の男性教諭とデキてるって噂が流れて、ずっと暮らしてきた町に、住めなくなった。 勿論それは嘘っぱちなでまかせだったけど、誰もおれの話を信じてくれなくて、人の噂話に疲れた母さんと二人、そこで培ってきた生活の全部を捨てて、この町に引っ越してきたんだ」 「…初めて、聞く」 「だっておれの黒歴史だし。 気持ちのいい話じゃないから、話す気にならなかったからね」  多分、丈のお父さんもお母さんも知らない話だと思うよ、という玲の声を夜陰に紛れて聞きながら、丈太郎は軽い語り口調で話す玲を信じられないものでも見る目で見ることしか、できることがなかった。 '
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