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「おれは普通の感覚を持つ丈たちとは違うから、ずっと人の影に隠れて生きて行くんだと思ってた。 なのに母さんったら、初対面の丈たちに『自分の息子はゲイです』って伝えちゃうんだから…凄くない?」
「まぁね。 初めて『ゲイ』って単語を聞いたあの頃は、よく、イミが分かんなかったけど」
「そう、かもね。 でも、それでも丈たち家族は偏見の目でおれを見たりしないで、一般の人と変わらない接し方をしてくれた。 言っちゃった母さんも凄いと思ったけど、受け入れてくれた丈たちも凄いって思ったよ。本当に…ありがたかった」
「えっ?」
「だって普通、『普通じゃない』って分かったら、見る目が変わるだろ? 『気持ち悪い、変態、近づくな』とか言ってさ。…まぁ丈もそれに近いところがあったけど、言うだけ言うっていう感じだったし、変な触り方さえしなければプロレス技仕掛けてくる訳でもなかったし、普通の感覚でおれを見てくれたことに、感謝してるんだ」
「レイは、レイだろ」
「うん、そうだね。…みんなそう言って、くれたらいいんだけど」
語尾が涙で震え、再び泣き出した玲は俯いてその顔を見られまいと隠す。
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