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「……」
「なに、その顔」
「…初めて丈に、綺麗だって褒められた」
「っ、いつも思ってるけど、照れくさくて言えなかったんだよ! って、ナニ言わせんのっ、もう…帰るよっ」
「えぇ~?」
もう帰るの? という不満声とは裏腹に、嬉しく思う気持ちを泣き顔に滲ませ笑っていると、耳まで真っ赤に染めた丈太郎に腕を引っ張られ、ブランコから強引に立ち上がらせられてしまう。
それでも帰りたくなくて棒立ちになっていると、背後に回った丈太郎に背中を押されて前に進むしかなくなり、仕方なく歩き出す。
「あ~、楽ー」
「も~! ちゃんと歩いてよ、レイっ」
そんな他愛ない会話を交わしながら、夜道を歩く。
──…胸に抱えた闇は、すっかり晴れた。
辺りはすっかり夜の闇に沈んでいたが、玲の心は今日の星空のように煌めき。
遥か頭上に広がる美しい夜空のように、
澄み渡っていったのだった。
→→→つづく。
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