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墓の魔女
セルマは墓守である。
別に好きでなった訳ではない。彼女は故郷から、はるばる憧れの王都に出て、王立魔法学院に入学した。そこそこの成績を修め、卒業後は、お城のお抱え魔女として安定かつ薔薇色の人生を夢見ていたところに、あの日、学院の就職担当から思いもよらぬことを聞かされたのだった。
「募集がない?」
冷や水、いや青天の霹靂だった。
これまで、卒業と同時に文字通りの宮仕えが約束されていたはずなのに、今年から、新規採用を見合わせると。
しかも、城では増えすぎた魔法使いたちの削減に頭を悩ませていて、早期退職を奨励しているらしい。 考えてみれば、当然だが、魔女や、魔法使いは長命である。王宮には最年長八百歳を筆頭に、齡二百や三百を超えた先輩たちが、ごろごろ居座っているのだ。駆け出しの魔女など必要ない。
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