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むくむくと盛り上がった土の山が、そこかしこに出来ていた。モグラの穴にしては大きすぎる。やがて、あちこちから、くぐもった唸り声が聞こえ出した。
「ひぃっ」
すぐ脇の土の山から一本の干からびた腕が突き出して、セルマは思わず声を上げた。続いてぼさぼさ頭の屍がパラパラと土を落としながら、這い出そうとしてきた。
セルマは我に返り、びくびくしながら近づいて、おっかなびっくりスコップの先で突っついた。屍はびくりと体を震わすと、慌てて穴の中に引っ込んだ。
「ケケケケケ」
こんどは斜め右前の方から笑い声が聞こえた。顔を向けると、別の屍が髪を振り乱してこちらに小走りでやって来るところだった。
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