墓の魔女

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 その十日ばかり後、セルマは暗い表情で馬車に乗っていた。城の人事官はセルマの顔を見るなり、何も訊かずに即採用を宣言した。かくして、面接落ちの望みはあっさりと絶たれてしまった。  人事官は、その場で手引書を渡すと、七日後に迎えをやるから、それまでに目を通して、支度をしておくように、と言った。そして、今日に至った訳だ。  道が悪いらしく馬車はひっきりなしにガタガタと揺れた。墓地が城壁の外だなんて、聞いてなかった。  朝方に城門を出て殺風景な街道を走り、森を抜け、荒れ野を横切り墓地までたどり着いた頃には、日が暮れようとしていた。  墓地の入り口に小さな詰め所があり、中継ぎの管理官と名乗る人物がセルマを迎えた。彼は、やつれて憔悴しきった顔をしていた。しかし、セルマの顔を見ると、目を輝かせて何度も礼を言った。  今夜は詰め所で泊まることにした。セルマは疲れていたので、食事が終わると早々に床につき、すぐに眠りについた。  夜半を過ぎた頃、セルマは目を覚ました。墓地の方から何やら音が聞こえてくる。叫び声や喚き声、すすり泣き、呪いの声に、けたたましい笑い声。うるさくて眠れなかった。
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